台本「Memorias del mundo」第2話
●共通)台本の読み方・キャラ名+台詞番号がふられています。
・◇はシーン、◆は音響指示、※は注記です。
●今回登場人物と台詞数・補足
タニア:ta021-ta035
ベリンダ:be018-be033
ロサ:rs004-rs017
父:pp005-pp011
ナレーション:na004-na008
船長:em005-em006
女:ew005-ew010
船長:「父」より少し年上、40代前半。知的で柔和。
「父」を記録係として船に乗せた人物。荒々しい海の男が多い中で、冷静沈着。
女:「父」を芸術の師と慕って(いつの間にか)ついてきた女性。20代前半。
名家の生まれで、おしとやかであり、優雅な振る舞いだが、芯は強く行動的。
↑タニアとベリンダの良いところを足して少し大人にした感じ。
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Memorias del mundo 第2話「足跡を追って」
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台本
◇暗転
◆BGM:神々しい
ナレーション na004
「― ある人にとっては唯一の神であっても、ある人にとっては邪悪な悪魔であることもある。
神が人を造ったのか、あるいは人が神を造ったのかは永遠にわからないが 」
ナレーション na005
「いま彼女たちの目に映るそれは、まぎれもなく真実である ―」
◆BGM:END→ややコミカル
◇壊れた神殿
ロサ rs004
「ゴーベルナー…サムサラ…メテム…んー、思い出せんのぅ。まぁよいわ。」
ベリー be018
「自分の名前を思い出せないなんて、もしかして、キオクソウシツ?」
タニア ta021
「んーよくわかんないけど、名前が無きゃ困るじゃない?」
ロサ rs005
「そんなことにこだわる必要があるのか?」
タニア ta022
「そんなことって、大事じゃない!
お友達になるには、まずちゃんと名前を言いなさいってお母さんが言ってたもん」
ベリー be019
「うん、名前が無いとちゃんと呼べないもんね」
ロサ rs006
「(ぼそっと)…ふむ、やはり小さいモノたちだな。」
タニア ta023
「そうだ!じゃあお姉ちゃんが名前付けてあげる!
んーとね、神様っぽくてー…小さくてキレイでー…ロサっていうのはどう?」
ベリー be020
「…あ、私の持ってるロザリオから取ったんだね。お姉ちゃんすごいっ!」
※Rosario=ポル語でロザリオ、スペ語でロサリオ。
ロサ rs007
「ロサ、か。俗物的な響きではあるが、まぁなんとでも呼ぶがよい。」
タニア ta024
「ねぇねぇロサ、私たちね、お父さんを追って旅をしてるんだけど、
この近くに大きい街はある?」
ベリー be021
「素直に迷子になりましたって言おうよ…」
ロサ rs008
「ほぅ、さながら迷える子羊といったところか。面白いな。」
タニア ta025
「面白くないよぉ!羊さんはオイシイけど、ちゃんと感謝して食べなきゃダメなんだよ?」
ベリー be022
「…お姉ちゃん、話通じてないと思うよ?(思い出して)…あ、そういえばドリーのことなんだけど…」
タニア ta026
「(触れたくない話題で)…あ。」
ベリー be023
「ほら、小さいときに私すっごく可愛がってたけど、いきなり居なくなっちゃって…」
タニア ta027
「か、神に感謝して生きましょうね。」
ベリー be024
「(ぐすん)やっぱり…そういうことだったんだね。」
ロサ rs009
「都合よく感謝したり恨まれたりする身にもなって欲しいものだな。
大きな街なら、ここからすぐ東にあるが。」
タニア ta028
「ほんと!?やったー!お腹空いてたんだー!
これも神のお導きだね!ロサ、案内してくれる?」
ロサ rs010
「(ぼそっと)まぁ…これも一つの答えか。(含み笑いつつ)導いてやろう。」
◆暗転→波の音&海鳥
ナレーション na006
「― 彼女たちが小さな旅立ちを果たした頃、彼女たちが追う人物は
はるか東の洋上に居た。
見渡す限り、一面の海と空。そこに彼が描くものは…」
◇洋上、船
◆SE:絵を描く父と近づく足音
女 ew005
「先生、こちらに居たのですね。」
父 pp005
「先生ってのは、やめて欲しいなぁ。
私は自分の好きなことをやっているだけだからね。」
女 ew006
「あら?この絵の女性は…」
父 pp006
「あぁ…妻と娘たちだよ。おっと、サボってることは内緒だよ?」
女 ew007
「…先生の絵は、どれも素敵ですけど…これほど美しい絵は見たことがありません。」
父 pp007
「ははっ、ただのお遊び、落書きみたいなものだよ。
構図も良くないし、第一、ここにその人物はいない。写実的ではないだろう?」
女 ew008
「でも、一緒に船に乗っているような、とても幸せそうな絵です。」
父 pp008
「そうかい?ははっ、照れくさいな。でも君も、家を飛び出して私に付いてくるなんて、
大した度胸と根性の持ち主だな。酔狂ともいえる。」
女 ew009
「先生、その話はお忘れください。私は、ただ先生に絵を学びたいと思っただけです。
ただ、それだけのことです。」
◆SE:近づく足音
父 pp009
「はは、ただそれだけのこと、か。そうかもしれないね。」
船長 em005
「(わざとらしく絵をのぞく)ほー…これは立派な航海記録ですねぇ、センセイ。」
父 pp010
「あ、船長、これは、ちょっとした息抜きでして…。」
船長 em006
「…これは船長として申しますが、しっかり仕事に励んで頂きたいですねぇ。
…ただ、同じ父親として、本当に、素晴らしい絵だと思いますよ。」
◆SE:センチョー、立ち去る
父 pp011
「…やはり記録係としてこの船に乗り込んだのは、正解だったようだな。」
女 ew010
「(微笑んで)ほんと、そうですね!」
◆暗転→SE:小川の流れる音→さわやかな午後のイメージで→食事のSE
◇街中 ヴィニーチェ
タニア ta029
「はぁ~!どれもこれもオイシイ!幸せ!旅に出て良かったぁ~!」
ベリー be025
「(溜息ついて)お姉ちゃん、念のため聞いておくけど、旅に出た目的は?」
タニア ta030
「えっと、オイシイお料理探しだっけ?」
ベリー be026
「もう!そんな理由じゃないでしょ!?」
タニア ta031
「(気にせずに)それにしても助かったぁ。お金持ってないし、どうしようかと思った。」
ベリー be027
「(のせられて)広場で楽器借りられて良かったよね。なんだかすごく盛り上がってたし。」
タニア ta032
「そこはほら、街一番のダンサーであるお姉ちゃんの実力ってとこ?」
ベリー be028
「むー、私だって頑張って歌ったもん!」
ロサ rs011
「…盛り上がってるところすまないが、これから何処へ向かうつもりだ?」
タニア ta033
「そうね…あ、そうだ。ロサ、この絵葉書見てみて!お父さんから届いたやつ
ずっと取ってあるの。届いた順番もそのままなんだ!」
ベリー be029
「不思議な建物とか、見たことない景色とかいっぱいなんだよ!?」
ロサ rs012
「どれ…(絵を見て)なんだ、どれも当たり前の景色じゃないか。」
ベリー be030
「えぇ!?ロサちゃん、見たことあるの!?」
ロサ rs013
「順番通りなら、ここから東へ向かっているようだな。」
タニア ta034
「ねぇ、急いで行ったらどれくらいで追いつくかな?」
ロサ rs014
「すぐ追いつくだろうな。歩いても3年くらいだろう。」
ベリー be031
「(ノリツッコミに)なんだぁ!すぐ追いつけるんだぁ!3年かぁ……3年!?」
タニア ta035
「へぇ~、な~んだ、余裕じゃない。」
ロサ rs015
「余裕だ。」
ベリー be031
「余裕じゃないよ~!」
◇暗転
ナレーション na007
「尺度は常に、曖昧なものである。」
◇次回予告 BGM:予告
※テンポよくお願いします。
ベリー be032
「ベリーです。ちょっと遠くまで行けばお姉ちゃんも気が済むと思ったんだけど、
なんだか大変なことになっちゃいました。」
ロサ rs016
「これくらいで大変とは、やはり人間とは小さいな。」
ベリー be033
「う~、ロサちゃんも不思議な子だし、これからどうなるんだろう…。」
ナレーション na008
「次回メモリアスデルムンド第3話『異国への潜入』お楽しみに」
ロサ rs017
「おお、誰かと思えばおぬしは…」
----第2話END----